宝石と聞いて皆様は指輪、ネックレス、イヤリング、ティアラなど思い浮かべると思います。
しかし宝石はもっと他にも用途があります。
ダイヤモンド:まず思い浮かぶ宝石だと思います。正体は炭素。元は消し炭と同じです。
炭素原子の結びつき方の違いで硬く透明になっているんですね。
宝飾用としてはもちろん、硬さを生かして研磨材料として、高い熱伝導性を生かしてヒートシンクとしての用途もあります。
ルビー:元は酸化アルミニウムです。宝飾用としてはもちろん、硬さや表面の滑らかさを利用して機械式時計の回転部分の軸受にも使われています。
サファイア:これも元は酸化アルミニウムです。宝飾用としてはもちろん、ルビーと同様に精密機器の軸受やレコード針、光学ドライブのピックアップレンズ、iPhoneのパーツなどに使用されています。
コランダム:酸化アルミニウムの結晶です。硬さを生かして研磨材料としての用途があります。
ここからは宝石の、画材としての用途についてお話しします。
岩絵具:日本画の画材として、岩石や宝石を磨り潰し膠と混ぜ絵の具としたものです。
ウルトラマリン、瑠璃:パワーストーンとしても有名なラピスラズリを贅沢にも磨り潰して絵具としています。鮮やかな発色の青が特徴です。
ピンと来た人がいるかもしれませんがフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」の青いターバンはウルトラマリンで描かれています。
フェルメールはウルトラマリンの発色に魅せられ生涯多用したようですが元は宝石なのでその価格は非常に高価で借金をしながら創作活動を進めていたようです。
次は若干宝石を離れてクリスタルガラスについてお話しします。
クリスタルガラスはガラスに酸化鉛など(現在は鉛害回避の為酸化バリウム、酸化カリウム、酸化チタニウム添加のクリスタルガラスもあります)を添加し、より透明度や屈折率を高めたものです。
主なメーカーや産地について書きます。
スワロフスキー:オーストリア 酸化鉛保有率32% 屈折と分散が大きいクリスタルガラスを製造
バカラ:フランス 酸化鉛保有率30%
ヴェネチアングラス(ムラーノグラス):イタリア 鉛は含まずソーダ石灰やコバルト、マンガンを添加。1921年にムラーノ島へ職人を集め技術を保護。
カガミクリスタル:日本 1934年に創業
そして写真レンズの硝材についてお話しします。
宝石じゃないと仰る方もおられると思いますが、広義で宝石の仲間に入れてあげて下さい(汗)
蛍石:写真用レンズとして最も宝石ぽいものから書きます。
正体はフッ化カルシウム。アッベ数約95の超低分散。これで凸レンズを作れば色収差が抑えられると気づいた人は天才だと思います。
BK7:写真レンズ用の硝材で最もポピュラーな材料です。一般的にSCHOTT社のN-BK7を指します。他社でも同じような組成で製造されています。
酸化トリウム:屈折率を高めかつ、分散を抑える為に酸化トリウムを添加。アトムレンズと呼ばれます。
現在はランタノイドに置き換えられています。
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